犬や猫の皮膚トラブルは、動物病院への来院理由の中でも特に多い症状のひとつです。「かゆみが続く」「毛が抜ける」「皮膚が赤い・フケが多い」など、皮膚病は見た目だけでなく、ワンちゃん・ネコちゃんが、なんだか眠れない・そわそわしていて、いつもと動きがおかしい・イライラしているなど、日常生活の質にも大きく影響します。
皮膚の症状は、アレルギー、感染症、寄生虫、免疫の異常、ホルモンの異常、体質、季節要因など多様な原因が複雑に絡み合うことも少なくありません。
当院では、症状の背景にある「本当の原因」を丁寧に見極め、ワンちゃん・ネコちゃんが快適に過ごせるよう、適切な皮膚科治療を行っています。
身体のかゆみ、フケ、赤み・炎症、痂皮、ベタつき、 特有のにおい、脱毛、舐め壊し、耳のかゆみ など
ご家庭で観察の参考になるよう、よくみられる皮膚表情(見た目の不調)と関連する可能性のある病名をまとめました。ひとつの症状を取っても起因する原因が様々あるため、誤った対応や放置をすると皮膚トラブルの悪化や慢性化で複合要因が絡み、診断が複雑化する可能性があります。
気になる症状があれば、ご自身で判断せずお早めにご来院ください。早期の診断と治療で不快な症状を短期間に抑えることが、ワンちゃん、ネコちゃんの快適な日常生活にとても重要です。
犬のよくある皮膚の症状
| 皮膚トラブル(症状) | 関連が疑われる皮膚病 |
|---|---|
| かゆみ・かく・舐める | 膿皮症、寄生虫症、ノミアレルギー性皮膚炎、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎 |
| 脱毛・薄毛 | 甲状腺機能低下症、クッシング症候群、膿皮症、アロペシアX、性ホルモン性脱毛 |
| 赤み・炎症 | 皮膚糸状菌症、膿皮症、マラセチア皮膚炎、ノミアレルギー性皮膚炎、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎 |
| 発疹・ブツブツ/フケ・乾燥 | 膿皮症、寄生虫症、皮膚糸状菌症、ノミアレルギー性皮膚炎、食物アレルギー |
| ベタつき・体臭増加 | 脂漏症、マラセチア皮膚炎 |
| 耳のかゆみ・赤み | 細菌感染、マラセチア性外耳炎、寄生虫感染、アレルギー性外耳炎 |
| 皮膚の黒ずみ | 慢性的な炎症、内分泌疾患 |
猫のよくある皮膚の症状
| 皮膚トラブル(症状) | 関連が疑われる皮膚病 |
|---|---|
| かゆみ・過度の毛づくろい | 寄生虫症、ノミアレルギー性皮膚炎、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎 |
| 部分的な脱毛(舐め壊し) | 心因性脱毛、ノミアレルギー性皮膚炎、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎 |
| 赤み・炎症 | 皮膚糸状菌症、好酸球性肉芽腫症候群、ノミアレルギー性皮膚炎、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎 |
| 小さな痂皮 | 粟粒性皮膚炎(ぞくりゅうせいひふえん)、ノミアレルギー性皮膚炎、アトピー性皮膚炎 |
| フケ・乾燥 | 皮膚糸状菌症、脂漏症 |
| しこり・腫れ | 好酸球性肉芽腫症候群 |
| 顔や首のかゆみ | ノミアレルギー性皮膚炎、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎 |
| 耳のかゆみ・汚れ | 寄生虫感染、皮膚糸状菌症、アレルギー関連 |
1. 問診・視診・触診
症状やきっかけ、普段の様子を詳しく伺い、視診・触診・においの確認など五感を使って評価します。その状態をもとに必要な検査へ進みます。
2. 皮膚検査(掻爬検査・細菌検査・アレルギー検査など)
押捺塗抹検査/テープストリップ法/皮膚掻爬検査(スクレイピングテスト)/膿疱内容物検査/針生検/毛検査/ウッド灯検査/皮膚病理検査 など
3. 原因に応じた治療
外用薬・内服薬・シャンプー療法・スキンケア・食事療法などを組み合わせ、症状や肌質に合わせた治療を行います。
4. 再発予防・定期ケア
皮膚疾患は再発しやすいため、長期的に無理なく続けられるケアをご提案します。
■疥癬
ヒゼンダニ感染により強いかゆみ、脱毛、赤みを伴います。原則、駆虫薬で治療していきます。
■皮膚糸状菌症
脱毛、フケ、痂皮、鱗屑、赤みを伴います。伝染性が高くヒトに感染することもあるため、環境消毒と早期治療が重要です。
■マラセチア皮膚炎
皮膚に常在するマラセチアというカビの一種が増えることで赤み・ベタつき・臭いが生じます。抗真菌薬やシャンプー療法を行います。
■ノミアレルギー性皮膚炎
ノミの唾液に含まれるアレルゲンに過敏に反応して強いかゆみと皮膚の赤み、脱毛、痂皮などの症状が起きます。駆虫薬を用いて治療します。
■食物アレルギー
特定の食べ物(アレルゲン)のタンパク質に対して免疫が過剰に反応し、皮膚や消化器に症状を引き起こす病気です。皮膚症状としては、強いかゆみ・脱毛・赤みがみられます。除去食試験にて検査を行い、原因物質を食事から除くことで治療していきます。アトピー性皮膚炎が併発していることも多いです。
■アトピー性皮膚炎
環境中のアレルゲンに対する体質的な過敏反応で、頭部、四肢や体幹など色々な部位に強いかゆみや外耳炎をくり返します。症状に合わせて薬物療法、スキンケア、食事療法などを行います。
犬の特徴的な皮膚病
■ニキビダニ症
毛穴に寄生するニキビダニ(毛包虫)が過剰に増殖して、炎症、脱毛、発疹など毛包を中心とした皮膚病を起こします。
■膿皮症
皮膚のバリア機能が低下したときに皮膚常在菌が過剰増殖して起こる病気です。発疹、湿疹、膿疱、痂皮、フケなどが出ます。
■脂漏症
脂性ではベタつきと臭い、乾性では大量のフケが生じます。
■性ホルモン性脱毛
性ホルモンの乱れにより脱毛や脂漏症が起こります。去勢手術をしていない雄犬に頻発します。
■クッシング症候群
ホルモン(コルチゾール)が過剰になり、多飲多尿、脱毛、お腹の膨隆などを示します。
■甲状腺機能低下症
体幹の左右対称性脱毛、尾部の脱毛、黒ずみ、慢性膿皮症などがみられます。
猫の特徴的な皮膚病
■痤瘡(ざそう)
顎に黒いぶつぶつができ、悪化すると炎症や潰瘍、痛みを伴います。
■尾腺の脂腺過形成(スタッドテイル)
尾の付け根が皮脂でベタつき、脱毛や感染症が生じます。
■好酸球性肉芽腫症候群
白血球の一種である「好酸球」が、アレルギーや寄生虫感染に反応して皮膚や口腔内、あるいは内臓に異常に集まることで炎症や病変を引き起こします。
■粟粒性皮膚炎(ぞくりゅうせいひふえん)
粟(あわ)のような小さな赤い丘疹が皮膚にでき、猫の皮膚に触れた際にざらざらした感触がします。激しいかゆみを伴います。
家庭でできるケアも大切です
日々のスキンケア、清潔環境、体質に合った食事などが皮膚の健康維持に役立ちます。ただし、皮膚病は原因が複雑で家庭ケアだけでは改善が難しいこともあります。
かゆみ・脱毛・赤みが続く場合は、どうぞお気軽にご相談ください。
当院では、生活に無理のない治療計画をご提案いたします。早めの相談が、ペットの健やかな毎日につながります。